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生まれつき両手が無いホルン奏者、フェリックス・クリーザー

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“僕は完璧主義かって? うん、そうだと思うよ”

生まれつき両手が無いホルン奏者、フェリックス・クリーザー



大変扱いにくい楽器の一つであるホルンを足で操る奇跡 26歳のクリーザーさん。
ホルン奏者として既に世界的に活躍されており、スティングのツアーにも参加!
腕の無い彼は、ホルンの演奏だけでなく日常の全て
…食事、着替え、メモを書くことまで全て足で行います。

文責:宗次ホール企画担当 廣田 政子(ひろた まさこ)



クリーザーは正に偉業を成し遂げた、と言っていいだろう。
なぜならホルンとは、残酷なほどに演奏するのが難しい楽器だから。
彼が腕を持たないから故に有名になったのでは…と思う人は居るかもしれない。
もちろんそれも彼の驚くべき人生の大切な一部であることに間違いないけれど、
クリーザーの美しくバランスの取れた音質や、その色彩鮮やかな音色は、
彼が腕を持たないこととはもはや無関係に、ただただ美しい。
彼がどのようにここまで辿り着いたのか。その音楽に対する愛情や情熱は、
いかなる音楽家にも共通するに違いない。
(Primephonic/クラシック専門配信サイトより)



クリーザー1

フェリックス・クリーザー (ホルン) Felix Klieser, Horn  

様々な面で特別な演奏家であるクリーザー。

1991年に生まれた彼は、4歳の時「ホルンが吹きたい」と言い、
17歳にしてハノーファー芸術大学に入学。
2013年に初のCDをベルリン・クラシックスよりリリース。
そこで比類ない音楽性と、見事なテクニックを証明。
このCDが様々なメディアで取り上げられ、
2014年にはECHO賞のヤング・アーティスト部門賞を受賞、本も出版された。
2016年にはシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭において、
栄誉あるレナード・バーンスタイン賞を受賞。
ホルンという楽器が持つ様々な音色、色彩を引き出すことに常に努力を払っている。
南ドイツ新聞は最近の演奏を評して「ただただ完璧」だと、
その正確さ、表現の多彩さ、そして美しい音色をたたえた。
2008年から11年までの間、ドイツのナショナル・ユース・オーケストラに所属し、
ベルリン・フィルハーモニー、ボンのベートーヴェン・ハレ、ケルン・フィルハーモニー、ミュンヘン・ガスタイクなどで演奏。
またオーストリア、イタリア、スイス、南アフリカなど国外でも演奏。
ワン・ハンド・ミュージカル・インストラメント財団(OHMI)の大使を務めている。




まず、どうやって腕を使わずにホルンを演奏しているのですか?

楽器を僕専用のスタンドに置いて、バルブを左足で押します。
ミュートはもう1つ別のスタンドに置いてあり、右足を使って出し入れします。
4歳の時に初めてホルンを吹き始めた時には身体も小さかったのでホルンを床に置き、
自分も床に座って吹いていました。
ちょうど頭とマウスピースが同じくらいの高さでしたからね。
最初の2~3年は、そのやり方で吹いていました。
ですが身長が伸びてくるに従って、その体勢で演奏するのが難しくなってきたのです。
そこで、変わったものを発明する名人である知り合いのところへ相談に行きました。
すると彼はスタンド第1号を作ってくれたのです。
この第1号は分解することが出来ない点がやや不便でしたので、その後改良に改良を重ね、
現在使用しているスタンドが生まれたのです。
今のスタンドは完璧です!
全て分解して梱包できますので、ツアーにも持っていくことができるからです。


「一番難しい楽器」と言われることもあるホルン。
何がきっかけで演奏を始めたのですか?

どうしてホルンを吹きたかったか、実は覚えてないんです。
たった4歳でしたから。
どこかでホルンを見たり、聴く機会があったのか、記憶がありません。
ともかく両親に、「この楽器が吹いてみたい」と言ったそうです。
両親は音楽家ではありませんでしたから、
一体どこでホルンを教えてもらえるのか探してくれ、
ドイツ中心辺りにある小さな街、ゲッティンゲンという所で唯一、ホルンを教えている先生を見つけてきてくれました。
その先生の元へ「こんにちは!この楽器が吹いてみたいんだけど!」と尋ねていったわけです。
先生は「わかった!じゃあやってみようか!」ってね。
それまでホルン奏者に会ったことも無かったですし、
両親を含め家族で吹いている者も居ませんでした。
本当に何でこの楽器に興味を持ったのか、僕も知りたいくらいです!


ホルンの演奏が、一番最初の「挑戦」だったと思いますか?

普通の人達と何ら変わらない、ごく普通の生活をしていましたから。
特に不便を感じたこともありませんでしたしね。
なので、どうやってホルンを演奏するか、ということが僕の挑戦となっていました。
ですがレッスンを受け、たくさん練習して、とても上手くいくようになってきました。


楽器はドイツ・アレキサンダー社製のホルンを使っていらっしゃるようですね?
一番しっくりきますか?  

最初は、アメリカのホルトン社のものを使っていました。
ですがドイツで育ち、コンサートでドイツのオーケストラと演奏をしていると、
アメリカ製の楽器で演奏を続けていくことが難しくなってきて、変えました。
音質から全て異なるからです。  
13歳で大学に入ってから、周りは皆ドイツの楽器で、ドイツ流の奏法で、
ドイツの文化に根付いた演奏をしていました。

 
通常、ホルン奏者は右手を朝顔に入れて音を調整しますが、
右足を代わりに挿入しているのですか?

いいえ、右足を挿入することはしません。
演奏する時には身体が楽な状態でなければなりませんので、僕の場合、上手くいきません。
普通のホルン奏者は通常右手を朝顔(管の開口部)に挿入していますが、
(手を更に深く挿入すると、通常の音より低い、くぐもった音が得られる。)

クリーザー2

僕にはそれが出来ないことが大きな問題でした。
右手を入れられなくても、
入れた時と全く同じ音やアーティキュレーションを出せるよう模索しました。
例えばモーツァルトのコンチェルトを演奏する時とロマン派の作品を演奏する時とでは、
全く異なる音色が欲しいわけです。
普通は「右手」でこれをコントロールできますが、僕にはできない。
そこで息の仕方、空気の流し方や速さ、そして息が唇を通る時のスピード、
それに歯の位置、口腔の大きさ…と全ての要素を考えて微調整し、
求める音が出せるまで、とにかく試行錯誤の連続でした。
問題は、誰からもこれらのテクニックについて教えを乞うことが出来なかったことです。
こういう風にすべきだ、とかこうしてはダメだ、とか。
(普通と違う演奏法を試しているわけですから)
誰も何も教えてくれなかった。
ですから今の僕の演奏や奏法、音色やテクニックは100%自分で生み出したスタイルです。
大学でも、「趣味としては良いけど、ホルンの演奏を仕事とするのは諦めなさい」と
何度言われたことか!
現に、その時僕が出していた音はホルンというより、
トランペットのような音でしたから。
その度に怒って言い返していました。
「いや、絶対テクニックがあれば他のやり方で出来るはずだ!」ってね。
それでひたすら、右手を使わずして理想の演奏ができるように追究したわけです。
挑戦しなければ、何も変わらないですから。
「これくらいの音が出せれば合格かな」と自分で満足がいく音が出せるまで、
7~8年かかりました。


練習は毎日しますか?
ホルン以外の楽器も演奏されますか?

もちろん、練習は毎日です。「今日は疲れたから!」と練習をサボることはできますが、
そうしてしまうと、次の日感覚を取り戻すのに、
ものすごく苦労してしまうのを分かっていますので、
1時間であっても必ず、毎日吹くようにしています。
そして僕はホルンという楽器のもつ可能性に挑戦し続けることに完全に虜になっていますから!
他の楽器に目移りしたことも、一度も無いのです!
ホルンは本当に豊かな音色と鮮やかな色彩が魅力です。


音楽に関して話す時以外には、
腕を持たないことに対して話すことは好きではない、
とお聞きしています。それはどうして?

なぜなら、僕の生活は何ら問題なくスムーズだからです。
音楽家ですから沢山演奏の場に恵まれると嬉しいですが、
その他は僕のごく個人的な、プライベートだからです。
演奏会の場では多くの人に注目されますが、
僕は自分のするべきことをやっているだけであって、
「有名になりたい」なんて決して思わないのです。
自分のプライベートは大切ですし、音楽家である前に、一人の人間でありたい。
僕の演奏を聴きに来て下さる皆様に良い時間を過ごしてほしい、
音楽を通してその心に触れたい、それだけです。
僕にとっては音楽とは技術ではなく、心を動かす感動なのです。


【参照】 “The man who plays French horn with his toes”: BBC News “Interview with Felix Klieser”: Primephonic Jan, 2017 

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(腕が使えなくとも)感動を表現したいときは、そんな光景を想像して吹くんだ。
例えば冷たい雨が降り続ける日、自分は温かいお風呂に浸かっている幸せな光景なんかをね!
幸せな時、悲しい時…その感情は必ず声色に表れるもの。
どうやって声に変化をつけているか?って説明できないけれど。
(フェリックス・クリーザー)



クリーザー3


いかがでしたか??
実は、クリーザーさんの自伝の日本語版が発売予定です!
ご興味がある方は、ぜひ♪


クリーザー





こちらの動画もぜひご覧くださいませ♪



 






フェリックス・クリーザー(表)




フェリックス・クリーザー(裏)



フェリックス・クリーザー ホルンリサイタル

【プログラム】
シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 op.70
ベートーヴェン:ホルンソナタ ヘ長調 op.17
シューベルト:「ます」「菩提樹」
ラインベルガー:ホルンソナタ 変ホ長調 op.178
R.シュトラウス: アンダンテ ハ長調 他
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6月25日(日)
15:00 開演(14:15開場)
一般¥3,500/学生¥2,100 
全指定席 [チャリティーシート¥3,850/ハーフ60 ¥2,100]
ご予約は宗次ホールチケットセンターへ
☎052-265-1718(毎日10:00~18:00)


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