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宗次ホール・オフィシャル・ブログ

「クラシック音楽を通じて人と街をやさしくしたい!」クラシック音楽の宗次ホール(名古屋・栄)です♪

クラリネットの魔術師 再来演!!

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2013年5月スイーツタイムコンサートで当ホールに初登場した
世界的クラリネット奏者「アレッサンドロ・カルボナーレ」
カルボナーレ
↑このいたずらっ子のような表情に覚えのある方は、いらっしゃるでしょうか?
※下の文章を読み進めていただくと、見た目の印象の意味が分かると思われます。

カルボナーレさんの宗次ホール2度目の来演が、今月18日(火)に迫ってきました。
前回は、スイーツタイム・コンサートのため、休憩を含む1時間30分と短めの
コンサートでしたが、今回は、たっぷり2時間!
前回に続き、黒田亜樹さんのピアノと宗次ホール初登場の
ヴァイオリニスト エリザ・パパンドレアと共に
「クラリネットって誰でも簡単に吹けそう!?」と錯覚する位
軽やかに飄々と超絶技巧を吹きこなす様を
をぜひ楽しみに来てください。


下記は、演奏会を前に黒田亜樹さんから伺った
名手カルボナーレ氏の仰天エピソードの数々です。

<宗次ホール>Q:宗次ホールにとって黒田さんとカルボナーレさんは昨年5月
スイーツタイムコンサートにご出演いただいて以来ですね。
<黒田さん>A:そうですね、あの時は本当に多くの方に聴きに来ていただきありがとうございました。
宗次ホールで一緒に演奏させていただいて、アレッサンドロも私もこのホールの響きを
とても気に入って、今回また日本で、となったときに、真っ先に「名古屋で演奏したい」
彼が言ってきたんですよ。

Q:そもそも共演するようになったきっかけは?
A:最近はほぼ毎年彼と共演していますが、初共演したのは10年ほど前のことです。
アレッサンドロが来日する時に共演するピアニストを探しているという話があって、
それでイタリア語でコミュニケーション出来るということもあり、回りまわって
私にオファーが舞い込みました。当時もイタリアに居ましたので彼の名前は知って
いましたが、現地で彼と接する機会はまだ無かったんです。
彼はローマ、私はミラノが拠点で、ローマとミラノって東京と大阪みたいに全く違っていて
ほとんど交流が無いんですよ。共演したらと紹介して下さった方に
「カルボナーレは難しいよ、でも黒田さんならきっと大丈夫!」
無責任なことを言われました。やってみて・・・後からその意味が分かりました。

Q:「難しい」というのは何が難しかったんですか?
A:ひとことで言えば、アレッサンドロはとにかくものすごく変わった演奏をするんですよね。
「この先がどうなっちゃうんだろう?」というように激しくテンポが伸び縮みするんです。
もう一緒に弾いていて、乱気流に巻き込まれたような気がして、
ただただ必死になってついていくという感じでした。
で、その演奏会が終わってこれはもうダメだと思っていたら、どういうわけか
アレッサンドロが私を気に入って「また共演したい」と言ってくれたんですね。

Q:それ以来毎年共演を重ねていらっしゃるわけですが、黒田さんから見て
カルボナーレさんというのはどういう人なんでしょう。

A:びっくりすることだらけの人です。
でも根底には演奏者として極めてストイックな哲学があるんだと思います。
例えば、彼が若いときの話で、世界的なコンクールに次々と挑戦していた頃、
あえて練習の際に氷水に手を浸して、指先の感覚を無くすようにしていたとか。
当然指が回らない。でもそういうハンデをあえて自分に課して追い込むんだそうです。
そうすれば本番の舞台では楽に演奏できるでしょ、って。
普通なら考えられないスパルタ式練習法ですが、実際に、彼は沢山のコンクールで
素晴らしい受賞歴を重ねてますからを凄いことですよね。
なんだか「巨人の星」のような話ですね・・・。

Q:他にもカルボナーレさんのストイックさにまつわる話はありますか?
A:そうですね。彼のマスタークラスで私が通訳したとき、若い演奏者から
「どうしたら循環呼吸ができるようになりますか」という質問が出たときのこと。
(注:循環呼吸=息継ぎをする一瞬、口にためた空気を吐いて音が途切れないように
している隙に、鼻から空気を吸い込む呼吸法。)これに対してアレッサンドロは
「僕は2年間、毎日水を入れたコップにストローで息を吐いてブクブクして、
泡を止めないようにしながら鼻から吸う練習をしたんだよ。
君も2年続ければ出来るよ」と。

近道は無いんだということが言いたいんでしょうね。
でもバカ正直に2年もそれを毎日続けたというんだから、やっぱり超人的だとおもいます。
それから、常々彼が教えるときの口癖は「いつも同じように演奏するな!」ですね。

Q:同じように演奏してはいけない、というのは
それは即興的に演奏しなさい、ということですか?
A:まあ、そういう意味もあるでしょうけれども、もっと彼の場合は徹底してますね。
例えば、本番でプログラムが全部終了してアンコールだ、となりますよね。
でまあ普通は事前にアンコールでどの曲やるかというのはピアニストと話をして
おくものです。私も打ち合わせどおりに彼と一緒に舞台に出て行って
ピアノを弾こうとしたら、いきなり違う曲を演奏し始めるんですよ!
それもピアノが要らない無伴奏の曲を!! そうすると私は椅子に座って
狐につままれたような顔をしてボケーっと聴いてなきゃならない。
そういうハプニングを意図的に起こすんですよね。そしてそれを楽しんでる。
後で「ちょっとあれどういうこと」なんて言っても平然としてますね。
そういう突然のトラブルに対して共演者がどう対処するかを眺めてるんですよ。
さらには、本番前日に「明日はどんなプログラムだったっけ?」って
質問してきたことがあります。嫌な予感がしたんですが
「この曲とこの曲と・・・」と答えると
案の定「いやそんな曲を演奏することには
なって無かったよ! 別の曲を演奏するはずだった」って言い出すんですよね。
すでに一緒に練習してきた曲をですよ。それであわてて翌日楽譜を
買いに走って、ほとんどリハーサルが出来ないまま本番。
その上、その日はライブ録音していてCD化する予定だったにも関わらず
レコード会社とも打ち合わせして決めたプログラムをお構い無しに変更。
結果的にそのとき冷や汗流しながら演奏したプーランクのソナタはそのまま
CDとなりまして、なんと「レコード芸術」で特選を頂いたという
すごいオチがつきましたけれど・・・。

Q:ああ・・・・それこそ最初に黒田さんに共演を持ちかけた人が
「彼は難しい、けれど黒田さんなら大丈夫」と言った理由なんでしょうね。

A:いや、私にとっても彼は難しいし、もう本当に子供みたいな感じ
何が起こるか分からないので、いつも振り回されてクタクタです。
でもおそらくそれも含めて彼は計算してるんでしょうね。
私に対して「アキはそうやって追い込むと良い演奏をする」
とでも思っているのかもしれない。でも事実、彼との共演を重ねると
どうしてそこまでストイックに音楽をやらなくちゃいけないのか
理解できるようにはなりました。

Q:そのカルボナーレさんですが、最近はクラシックのジャンルを超越して
民族音楽やジャズにも挑戦していますね。同じようにポピュラーやロックにも
挑戦している黒田さんと重なる部分も多いでしょうね。

A:まあいまでこそメジャーになりましたけれど、
1998年に私がピアソラの作品だけでCDをリリースした時、
ピアソラを弾くクラシック畑のピアニストなんてほとんど居なかったですから。
大体いつも「やることがズレてて世の中の先を行き過ぎてる」って怒られるんですよね。
「タルカス」をやったときもそうでした。アレッサンドロの場合は、
クラリネットのレパートリーをほとんどやりつくしてしまって、
だから他のジャンルにも乗り出したという感じでしょうかね。
今はジャズのインプロヴィゼーションの練習をしてますよ。
ジャズのミュージシャンに教えを受けたりもしているようです。

A:今回はお2人にヴァイオリンのエリザ・パパンドレアさんが
加わりますね。彼女については?

Q:実は私にとって初共演の相手です。
しかし、今までお話したように、そこまで自分に厳しく他人にも厳しいカルボナーレが
手放しで絶賛するのが彼女なんですよね。
ここ数年共演を重ねていて、信頼を置いているヴァイオリニストです。
彼女には目立ったコンクールでの受賞歴なんかは無いんですけれど、
あの破天荒なアレッサンドロとはウマが合うというのは相当なことです。
プログラムもショスタコーヴィチやストラヴィンスキーといった近現代の
でもとても聴きやすい作品から、ガーシュウィン、デューク・エリントン
チャーリー・パーカーまで飛び出すカルボナーレ・ワールドを
どうぞお楽しみください。
あ、プログラムが当日突然変更されないことを祈ります・・・。

(聞き手・編集/西野裕之 宗次ホール企画担当)

※このインタビューは9月21日プロメテオ弦楽四重奏団の
随行のためにやってきた黒田さんをつかまえて行なわれたものです。

カルボナーレさんの演奏 試聴はこちらから
Alessandro Carbonare, cl. Andrea Dindo, pf.

パスクリ:蜂  ピアノ:黒田亜樹さん ※18日の演奏予定曲
Carbonare in JAPAN A.Pasculli Le Api

アレッサンドロ・カルボナーレ(クラリネット)
1967年イタリアのヴェネツィア近郊で生まれる。5歳からクラリネットをはじめ、ヴェローナ音楽院を首席で卒業。その後パリ、トゥーロン、ジュネーブ、プラハ、ミュンヘンなどの主要な国際コンクールで次々と上位入賞を果たし、若手ソロ奏者としてヨーロッパで脚光を浴びる。スイス・ロマンド管弦楽団との共演でデビュー。その後も世界各地のオーケストラと共演。指揮者クラウディオ・アバドの絶大な信頼を得て、ルツェルン祝祭管弦楽団およびモーツァルト管弦楽団の第1クラリネット奏者を務めたほか、アバド氏の指揮でモーツァルトの協奏曲を録音し、グラモフォンよりCDがリリースされている。
オーケストラ奏者としてリヨン歌劇場管、フランス国立管の首席奏者を歴任。現在はローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管の首席奏者。これまでに、ムーティ、小沢征爾、デュトワ、スヴェトラーノフなどの指揮者陣の元で演奏し、またベルリン・フィル、シカゴ響など世界トップクラスのオーケストラにも度々客演している。室内楽でもマリオ・ブルネロ、ピンカス・ズッカーマン、エマニュエル・パユなどと共演している。数年前からは、ジャズにも挑戦し活動の幅を広げている。
シエナのキジアーナ音楽院の教授を務めながら、ロンドン王立音楽院、ジュリアード音楽院、パリ国立高等音楽院など、世界的な音楽教育機関で指導を行なっている。


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