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今に響く12世紀修道女の祈りと神秘の声「聖ヒルデガルトと中世の音楽」

Categoryコンサートのご案内
8月21日(金) 13:00開演
スイーツタイムコンサート

今に響く12世紀修道女の祈りと神秘の声
「聖ヒルデガルトと中世の音楽」



8月21日(金)に登場するのは、学校教育のなかには登場しない音楽。
音楽室に作曲家の肖像が掲示してあったのを思い出してください。
いちばん古かったのはバッハ? ヴィヴァルディ?… そのあたりではないでしょうか?

バロック音楽の時代は1600年くらいから始まり150年ほど続きます。
バッハやヴィヴァルディが登場するのはその最後のほう。
しかし、西洋音楽の歴史はそれよりもずっと昔からあるのです。

古く遡れば古代ギリシャ時代から。
そして「中世」と呼ばれる時代が7世紀頃から14世紀頃まで。
その後15世紀頃から16世紀頃までは「ルネサンス」時代。
これだけの長い年月がヴィヴァルディやバッハの前に存在していて、
当然そこにおびただしい数の作曲家が登場しているにもかかわらず、
ほとんど省みられていないのです。
(もちろん遡るほど記録が残っている音楽が少ないこともその理由のひとつ。)

しかし、小編成の室内楽専門ホールである宗次ホールは、
こうした“いにしえの音楽”ととても相性が良いのです。
初めて耳にする音楽かもしれません。
でもシンプルでとても美しい曲たちばかりです。
是非「聴かず嫌い」にならずに聴いていただけたらと思います。

昔は識字率も低く、また印刷技術も無く、紙も貴重だったので、
音楽を後世まで記録しておける環境が整っていたのは、主に教会でした。
たとえば、グレゴリオ聖歌は、教会の毎日の日課の中で歌われてきた聖歌です。
作曲者も分からないことがほとんど。
音楽というよりは詩吟や、お経のような、言葉の抑揚が音楽になったように
聴こえるかもしれません。

中世の音楽は単旋律といって一つの旋律のみの音楽が多いですが、
時に他の楽器や声部が加わり、華やかさを添えられることもあります。
いずれにせよ現代の音楽から比べると随分シンプルですが、
この飾り気の無さが逆に新鮮で、現代人の琴線に触れるのです。

ヒルデガルトさん NCM_0205

8月21日(金)に取り上げられるのは、記録に残る最初期の女性作曲家の一人、
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンです。
1098年の中世ドイツ、貴族のもとに生まれた少女は、
ヒルデガルトという洗礼名を受けます。

詳しくは後ほど、出演者の佐藤裕希恵さんが紹介してくださるので、
ここでは簡単な紹介に留めますが、彼女は「中世最大の賢女」と呼ばれ、
女預言者、神学者、劇作家、伝記作家、言語学者、詩人としても活躍。
薬草にも詳しく、世界で初めてラベンダーの薬効を紹介した人物でもあるそう。

コンサート当日は、ドイツ薬草学の祖ヒルデガルトにちなみ、
ホワイエにてハーブティやドイツのお菓子の試飲試食・販売なども開催します。
素朴ですが人の心にそっと語りかける優しい音楽と共にお楽しみください。

さて、ヒルデガルトの生きた時代、そしてそれよりもう少し時代が下った中世には、
他にも興味深い音楽があります。
たとえば、賢王として知られるイベリア半島の王アルフォンソ10世が、
日本の和歌集のように、編纂を命じて作らせた「聖母マリアのカンティガ」
という曲集があります。
この曲集が興味深いのは、グレゴリオ聖歌やヒルデガルトとは違って、
当時の民衆の音楽が盛り込まれていることです。

スペインといえば、ジブラルタル海峡を渡ればすぐにアフリカ。
イスラム勢力との攻防を繰り返した土地です。
聖母マリアの御力を支えにイスラム勢力を追い出したい、
という意味を込めて作られた曲も収められています。
地理的背景から、アラブ的な要素や、一般の民衆にもなじみやすい
大衆的な雰囲気の曲も見られます。
また、当時教会の中では楽器を用いた演奏は禁じられていましたが、
おそらく一般の民衆へのアピールゆえでしょう、
この曲集では楽器も使われています。

さらに、フランスで詩人、作曲家、聖職者として活躍したギヨーム・ド・マショーの作品。
詩に甘美な旋律をつけて遺した彼の作品からは、
中世の男女の恋愛模様を知ることができます。

日本で言えば紫式部の「源氏物語」のように当時の人々を熱狂させた
「宮廷恋愛」がテーマ。
高貴な貴婦人に恋心を寄せる若き騎士たち、
苦しい心の内をつぶやく貴婦人たち… 等々、
今も昔も苦しき恋愛は音楽の重要な糧になっているのでしょう。

こうした中世の音楽を当日演奏してくださるのは、
ソプラノの佐藤裕希恵さん。

アンサンブル・ジル・バンショワなど古楽界有数の
古楽アンサンブルとソリストとして共演。
ポーランドで開催された国際古楽コンクール
“Canticum Gaudium”で第1位入賞、
先5月に行われた古楽のコンクール「第28回 国際古楽コンクール山梨」で
第1位を受賞など、国内外で活躍する期待の新星です。

そして彼女と共に、古楽界で活躍するソプラノの田村幸代さん、
中世フィドルの上田美佐子さん、リコーダーの菅沼起一さんが出演します。
クラヴィシンバルム、中世フィドル、など
中世の珍しい楽器を使っての演奏もお楽しみに。

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「聖ヒルデガルトと中世の音楽」
コンサートに寄せて
佐藤裕希恵(ソプラノ&クラヴィシンバルム)
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ひとえに「中世」といっても、その時代は数世紀に渡ります。
西洋音楽発展の根源ともいえる“グレゴリオ聖歌”の中で、
古いものは7世紀頃に書かれたものとも言われています。
ルネサンス期は一般に15世紀頃からと認識されていますので、
西洋音楽史で中世期は少なくとも8世紀以上に及びます。
日本で7世紀といえば飛鳥時代、15世紀といえば室町、戦国時代です。
その広大な歴史の中で生まれた様々なジャンルの中世西洋音楽は、
大きく二つに分けることができます。
一つはキリスト教のための音楽、もうひとつはそれ以外の世俗音楽です。

8月21日(金)に宗次ホールで行うスイーツタイムコンサート
「聖ヒルデガルトと中世の音楽」では、前半にキリスト教音楽を、
後半に世俗音楽を取り上げた、よくばりなプログラムです。

特に前半のプログラムでは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン
(ドイツ語で、“ビンゲン(地名)のヒルデガルト”の意)の音楽を中心に、
“女性”にまつわる曲を取り上げます。
ヒルデガルトは、12世紀ドイツに実在した修道女です。
幼い頃から幻視体験を繰り返すなど、他の人にはない神秘的な力を持っていました。

ヒルデガルド1

(画像:神からの啓示を受け、それを書き留めているヒルデガルト。
当時読み書きができるという事は、高度な教養の一つだった。)


生涯を修道女として神に捧げたヒルデガルトは、
その幻視体験をはじめ膨大で多様な著書を残しています。
幻視や預言(“予言”ではなく、“神から預けられた預言”)を記したものや、
医療や薬草、石に関する著書、さらには彼女自身が書いた音楽まで。

彼女の豊かな才能は、現代の私たちをも様々な分野で魅了し続けています。
たとえば、彼女の薬草学に基づいたハーブティや、料理のレシピなど
―タイムマシンでもない限り見ることのできない中世の世界を、
味覚で体験することができるのです。

音楽もまた然り―12世紀に生きた神秘的な修道女の残した音楽を、
残された楽譜をもとに想像、体験することができるのです。

現在まで写本に残されている音楽は77曲と宗教音楽劇が1作品。
すべて単旋律(1声のメロディのみ)の音楽ですが、
歌だけでなく楽器と共に歌われたことも十分に考えられます。
ヒルデガルト自身デカコルド(十弦琴)という楽器と共に
詩篇(旧約聖書に収められているもので、カトリックの典礼中に歌われた)を
歌っていたといわれていますし、自身の著書の中で
「聖性のフルート、賛美のキタラ、緒徳の女王である謙虚のオルガン」と書き残しており、
彼女にとって楽器は神を賛美するものでした。

ヒルデガルド2

 今回のスイーツタイムコンサートでは、歌、リコーダー、中世フィドル、
クラヴィシンバルム(中世の小型チェンバロ)を演奏いたします。

リコーダーといえば小学校で誰もが習うプラスチック製のものが多く普及していますが、
その歴史は古く、木製で、中世音楽においてとても重要な楽器です。

ヒルデガルド3

中世フィドルは、ヴァイオリンのように肩にあてて弾くことも、
チェロのように脚に挟んで弾くこともできます。
後にヴィオラ・ダ・ガンバやバロック・ヴァイオリンへと進化していった楽器です。
クラヴィシンバルムは初期の小さなチェンバロで、
バロック時代のチェンバロのような脚はなく、
本体をテーブルの上などにおいて演奏します。

めずらしい楽器やヒルデガルトのハーブティなど・・・
みなさま一緒に中世時代へタイムスリップし、
耳と舌でその魅力を味わってみませんか?


スイーツ(ヒルデガルト)表


♬♪♪ 平日の午後、気軽にクラシックコンサート ♪♪♬
8月21日(金)13:30開演(13:00開場)

佐藤裕希恵(ソプラノ&クラヴィシンバルム)
田村幸代(ソプラノ
上田美佐子(中世フィドル)
菅沼起一(リコーダー)

【プログラム】
カンティガ:聖母マリアの名によって
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:一人の女性が死を招き
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:万歳、慈悲深く栄誉に満ちた純潔の乙女よ  他 

当日ホワイエにて試食試飲・販売を開催!
薬草学の祖ヒルデガルトにちなんだドイツのお菓子&ハーブティーをどうぞ。

一般 [自由席] 2,000円

ご予約は宗次ホールチケットセンターへ 
☎052-265-1718(毎日10:00~18:00)





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